第5章 ・ ヤマ場

決算整理

合否を分ける最重要パート。型で覚えれば怖くない

1決算整理とは

期末に「帳簿の数字」を「本当の数字」に修正する手続きです。第3問で必ず問われます。

💡 3級の決算整理はパターンが決まっています。下の型をそのまま覚えればOK。

この章で覚える5つの型(全体マップ)

売上原価
しーくりくりしー
貸倒引当金
差額を補充
減価償却
価値の目減り
経過勘定
前払・前受・未払・未収
その他
現金過不足・当座借越ほか

2① 売上原価の算定(しーくりくりしー)

🎯
役割:もうけを正しく計算するため。
利益=売上 −「売れた商品の原価」。当期に仕入れた全部ではなく、実際に売れた分だけを費用(売上原価)にして売上と対応させます。売れ残り(期末商品)は来期に売る資産なので費用から外します。
例:りんご10個仕入れて7個売れたら、費用にするのは7個分。残り3個は資産。

期首商品¥1,000、当期仕入¥8,000、期末商品¥2,000のとき。

借方貸方
仕入 1,000繰越商品 1,000
期首を仕入へ
繰越商品 2,000仕入 2,000
期末を繰越へ
期首商品1,000
当期仕入8,000
期末商品2,000
売上原価7,000
🎵
呪文「しー(仕入)くり(繰越商品)/くり(繰越商品)しー(仕入)」。
「期首を足して、期末を引く」だけ。残った繰越商品(期末2,000)はB/Sの資産になります。

3② 貸倒引当金(差額補充法)

🎯
役割:将来の貸し倒れに前もって備えるため。
売掛金(ツケ)は、相手が倒産すると回収できません(=貸し倒れ)。「全額もらえる前提」のままだと資産を多く見せすぎ。そこで回収できなさそうな分を見積もって先に費用にし、資産を実態に近づけます。
例:売掛金100,000のうち2%(2,000)はたぶん回収できない、と先に損として備えておく。

売掛金残高¥100,000に2%設定。既存の引当金残高¥1,000。

借方貸方
貸倒引当金繰入 1,000貸倒引当金 1,000
設定額(2%)2,000
既存残高1,000
繰入額1,000

設定額 100,000×2%=2,000。すでに1,000あるので、足りない差額1,000だけ補充します(差額補充法)。逆に残高が設定額より多すぎたら、超過分を貸倒引当金戻入(収益)で減らします。

実際に貸し倒れたとき・あとで回収できたとき

ケース仕訳
前期の売掛金が貸倒れ(引当金あり)(借)貸倒引当金 /(貸)売掛金
引当金が足りない分は貸倒損失(費用)
当期に発生した売掛金が貸倒れ(借)貸倒損失 /(貸)売掛金
当期分には引当金を設定していないため全額費用
前期に貸倒処理した債権をあとで回収(借)現金 /(貸)償却債権取立益
💡 見分け方は「いつ発生した売掛金か」。前期以前→引当金を取り崩す/当期→貸倒損失。

4③ 減価償却(定額法・間接法)

🎯
役割:高くて長く使うモノのコストを、使う年数に分けるため。
備品や建物は何年も使う高価なモノ。買った年に全額費用にするとその年だけ大赤字で、翌年以降はタダで使える形になり不自然です。そこで使う年数で少しずつ費用に分け、毎年の利益を正しく表します。
例:6年使う備品120,000を、毎年20,000ずつ「使った分の費用」にしていく。

取得原価¥120,000、残存価額0、耐用年数6年。

借方貸方
減価償却費 20,000減価償却累計額 20,000
取得原価120,000
残存価額0
÷
耐用年数6年
1年分20,000

毎年20,000ずつ「減価償却累計額」が積み上がり、6年で120,000に到達(=価値を使い切る)イメージ。

🧮
間接法では資産(備品)を直接減らさず、「減価償却累計額」という相手科目に積み立てます。
期中に買った場合は使った月数ぶんだけ(月割り)計上する点に注意。

5④ 経過勘定(前払・前受・未払・未収)

4つを丸暗記すると混乱します。「費用か収益」×「前か未」の2軸で位置を覚えましょう。

前(さきに授受)
→ 繰り延べる
未(まだ授受なし)
→ 見越す
費用
前払費用
資産(払いすぎを繰延)
未払費用
負債(未払いを計上)
収益
前受収益
負債(受取りすぎを繰延)
未収収益
資産(未収を計上)
💡 青=資産赤=負債。対角線が同じ色(前払費用と未収収益=資産、未払費用と前受収益=負債)になっているのがポイント。
種類仕訳意味
前払費用前払費用 / 費用払いすぎ→資産へ繰延
未払費用費用 / 未払費用未払い→負債計上
前受収益収益 / 前受収益受取りすぎ→負債へ繰延
未収収益未収収益 / 収益未収→資産計上
💡 「前」がつくと相手は資産か負債、「未」がついても資産か負債。費用・収益を正しい期間に対応させる調整です。

6⑤ その他の整理

項目処理
現金過不足原因判明分は該当科目へ、不明分は雑損/雑益で締める
当座借越当座預金の貸方残高を当座借越(負債)へ振替
消耗品の未使用分貯蔵品(資産)へ振替
消費税の精算(借)仮受消費税 /(貸)仮払消費税・未払消費税
預かった分−払った分=納める分(負債)
法人税等の計上(借)法人税等 /(貸)仮払法人税等・未払法人税等
中間納付分を引いた残りが未払(負債)

7理解度チェック

Q1. 期首1,000・仕入8,000・期末2,000。売上原価は?
Q2. 取得120,000・残存0・6年。1年分の減価償却費は?
Q3. 家賃を払いすぎた分を次期に繰り延べる。借方科目は?
Q4. 当期に発生した売掛金が当期中に貸倒れた。借方科目は?

8まとめ

3行でおさらい

① 売上原価は「しーくりくりしー」、計算は 期首+仕入−期末。

② 貸倒は差額補充、減価償却は(原価−残存)÷年数(期中は月割り)。

③ 経過勘定で費用・収益を正しい期間へ。前=資産/負債、未=資産/負債。