第4章

試算表

仕訳の集計が合っているかをチェックする表

1仕訳から試算表までの流れ

日々の記録は、次の順で「形を変えながら」整理されていきます。

🤝
取引
お金やモノが動く
📓
① 仕訳帳
取引を仕訳で記録
📒
② 総勘定元帳
科目ごとに転記
🧾
③ 試算表
残高を一覧で検算
🔁
転記=仕訳の借方は元帳の借方へ、貸方は貸方へ書き写すこと。試算表はその集計ミスを発見する装置です。

2通し具体例で帳票を“見る”

文字だけだと掴みにくいので、3つの取引を実際の帳票の形で追ってみましょう。

STEP1 仕訳帳(取引を仕訳で記録)

📓 仕訳帳
日付借方科目金額貸方科目金額
4/1現金100,000資本金100,000
4/5仕入30,000現金30,000
4/8現金50,000売上50,000

①開業して現金100,000を出資 ②商品を現金30,000で仕入 ③商品を現金50,000で売上。

STEP2 総勘定元帳(科目ごとにT字へ転記)

同じ科目を1か所に集めます。借方の数字は左へ、貸方の数字は右へ。

現金
借方100,000
50,000
貸方30,000
残高 = 借方 120,000
資本金
借方
貸方100,000
残高 = 貸方 100,000
仕入
借方30,000
貸方
残高 = 借方 30,000
売上
借方
貸方50,000
残高 = 貸方 50,000
💡 現金は「入った2回(100,000+50,000)」と「出た1回(30,000)」の差額=残高120,000。多く入った方(借方)に残高が出ます。

STEP3 残高試算表(残高を1枚に集めて検算)

🧾 残高試算表
借方残高勘定科目貸方残高
120,000現金
30,000仕入
資本金100,000
売上50,000
150,000合計 ✔ 一致150,000
⚖️
借方合計 150,000 = 貸方合計 150,000。ピタリ一致したので、転記に大きなミスはなさそう、と判断できます。これが試算表の役割です。

3試算表の3タイプ

のせる数字が違うだけで、中身は同じ。さっきの3取引で見比べましょう。

① 合計試算表(各科目の“合計額”をのせる)

合計試算表
借方合計勘定科目貸方合計
150,000現金30,000
資本金100,000
30,000仕入
売上50,000
180,000合計180,000

現金は入金150,000・出金30,000を両方そのままのせる。合計は180,000で一致。

② 残高試算表(差額の“残高”だけをのせる)

残高試算表
借方残高勘定科目貸方残高
120,000現金
資本金100,000
30,000仕入
売上50,000
150,000合計150,000

現金は150,000−30,000=残高120,000だけをのせる。合計は150,000で一致。

③ 合計残高試算表(①と②を1枚に・4列)

合計残高試算表
借方残高借方合計勘定科目貸方合計貸方残高
120,000150,000現金30,000
資本金100,000100,000
30,00030,000仕入
売上50,00050,000
150,000180,000合計180,000150,000
💡 違いはこれだけ:合計=動いた金額を全部のせる/残高=差額だけ。合計残高はその両方を内側(合計)と外側(残高)に並べた“いいとこ取り”版です。

4いちばん大事なルール

⬅ 借方合計

資産・費用の残高 など

貸方合計 ➡

負債・純資産・収益の残高 など

⚖️
借方合計 = 貸方合計
一致しなければ、どこかに転記ミス・記入もれがあるサイン。試算表は「検算ツール」です。
⚠️ ただし試算表で発見できないミスもあります(例:貸借どちらも同額で間違える、仕訳まるごと記入もれ、金額の二重間違い)。

5残高はどっちに出る?

要素残高が出る側
資産 費用借方(左)
負債 純資産 収益貸方(右)

第1章のホームポジションと同じ。残高は「定位置側」に出ます。

6帳簿のなかま(主要簿と補助簿)

仕訳帳・総勘定元帳は必ず作る主要簿。細かい管理のために任意で作るのが補助簿です。本試験の第2問でよく問われます。

補助簿記録する内容
現金出納帳/当座預金出納帳現金・当座預金の入出金の明細
仕入帳/売上帳仕入・売上の明細(返品は赤字=マイナスで記入)
商品有高帳商品の受入・払出・残高を「数量×単価」で管理
売掛金元帳/買掛金元帳得意先別・仕入先別のツケ残高
受取手形記入帳/支払手形記入帳手形の明細(振出日・満期日など)
固定資産台帳固定資産の取得・減価償却の履歴
💡 「どの取引でどの補助簿に記入する?」という問題は、仕訳に出てくる科目から逆引きすればOK。例:掛仕入→仕入帳・買掛金元帳・商品有高帳の3冊。

商品有高帳のイメージ(先入先出法)

@100で10個仕入れ → @120で10個仕入れ → 15個売った場合。

📦 商品有高帳(先入先出法)
受入払出残高
仕入①10個×@10010個×@100
仕入②10個×@12010個×@100
10個×@120
売上(15個)10個×@100
5個×@120
5個×@120
📌
先入先出法=先に入れた古いものから払い出すと仮定する方法。払出欄は原価(@100や@120)で書き、売価では書かない点に注意。ほかに、平均単価で払い出す移動平均法があります。

7理解度チェック

Q1. 試算表で必ず一致するのは?
Q2. 「売掛金」の残高はどちらに出る?
Q3. 仕訳を1つまるごと書き忘れた。試算表で気づける?
Q4. 商品有高帳の「払出」欄に書く単価は?

8まとめ

4行でおさらい

① 仕訳帳→総勘定元帳へ転記→試算表で集計・検算。

② 試算表は合計/残高/合計残高の3タイプ。

③ 借方合計=貸方合計。ただし発見できないミスもある。

④ 主要簿(仕訳帳・総勘定元帳)+目的別の補助簿。商品有高帳は原価で記入。