1仕訳から試算表までの流れ
日々の記録は、次の順で「形を変えながら」整理されていきます。
🤝
取引
お金やモノが動く
→
📓
① 仕訳帳
取引を仕訳で記録
→
📒
② 総勘定元帳
科目ごとに転記
→
🧾
③ 試算表
残高を一覧で検算
🔁
転記=仕訳の借方は元帳の借方へ、貸方は貸方へ書き写すこと。試算表はその集計ミスを発見する装置です。
2通し具体例で帳票を“見る”
文字だけだと掴みにくいので、3つの取引を実際の帳票の形で追ってみましょう。
STEP1 仕訳帳(取引を仕訳で記録)
| 日付 | 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 4/1 | 現金 | 100,000 | 資本金 | 100,000 |
| 4/5 | 仕入 | 30,000 | 現金 | 30,000 |
| 4/8 | 現金 | 50,000 | 売上 | 50,000 |
①開業して現金100,000を出資 ②商品を現金30,000で仕入 ③商品を現金50,000で売上。
STEP2 総勘定元帳(科目ごとにT字へ転記)
同じ科目を1か所に集めます。借方の数字は左へ、貸方の数字は右へ。
現金
借方100,000
50,000
50,000
貸方30,000
残高 = 借方 120,000
資本金
借方—
貸方100,000
残高 = 貸方 100,000
仕入
借方30,000
貸方—
残高 = 借方 30,000
売上
借方—
貸方50,000
残高 = 貸方 50,000
💡 現金は「入った2回(100,000+50,000)」と「出た1回(30,000)」の差額=残高120,000。多く入った方(借方)に残高が出ます。
STEP3 残高試算表(残高を1枚に集めて検算)
| 借方残高 | 勘定科目 | 貸方残高 |
|---|---|---|
| 120,000 | 現金 | |
| 30,000 | 仕入 | |
| 資本金 | 100,000 | |
| 売上 | 50,000 | |
| 150,000 | 合計 ✔ 一致 | 150,000 |
⚖️
借方合計 150,000 = 貸方合計 150,000。ピタリ一致したので、転記に大きなミスはなさそう、と判断できます。これが試算表の役割です。
3試算表の3タイプ
のせる数字が違うだけで、中身は同じ。さっきの3取引で見比べましょう。
① 合計試算表(各科目の“合計額”をのせる)
| 借方合計 | 勘定科目 | 貸方合計 |
|---|---|---|
| 150,000 | 現金 | 30,000 |
| 資本金 | 100,000 | |
| 30,000 | 仕入 | |
| 売上 | 50,000 | |
| 180,000 | 合計 | 180,000 |
現金は入金150,000・出金30,000を両方そのままのせる。合計は180,000で一致。
② 残高試算表(差額の“残高”だけをのせる)
| 借方残高 | 勘定科目 | 貸方残高 |
|---|---|---|
| 120,000 | 現金 | |
| 資本金 | 100,000 | |
| 30,000 | 仕入 | |
| 売上 | 50,000 | |
| 150,000 | 合計 | 150,000 |
現金は150,000−30,000=残高120,000だけをのせる。合計は150,000で一致。
③ 合計残高試算表(①と②を1枚に・4列)
| 借方残高 | 借方合計 | 勘定科目 | 貸方合計 | 貸方残高 |
|---|---|---|---|---|
| 120,000 | 150,000 | 現金 | 30,000 | |
| 資本金 | 100,000 | 100,000 | ||
| 30,000 | 30,000 | 仕入 | ||
| 売上 | 50,000 | 50,000 | ||
| 150,000 | 180,000 | 合計 | 180,000 | 150,000 |
💡 違いはこれだけ:合計=動いた金額を全部のせる/残高=差額だけ。合計残高はその両方を内側(合計)と外側(残高)に並べた“いいとこ取り”版です。
4いちばん大事なルール
⬅ 借方合計
資産・費用の残高 など
貸方合計 ➡
負債・純資産・収益の残高 など
⚖️
借方合計 = 貸方合計
一致しなければ、どこかに転記ミス・記入もれがあるサイン。試算表は「検算ツール」です。
一致しなければ、どこかに転記ミス・記入もれがあるサイン。試算表は「検算ツール」です。
⚠️ ただし試算表で発見できないミスもあります(例:貸借どちらも同額で間違える、仕訳まるごと記入もれ、金額の二重間違い)。
5残高はどっちに出る?
| 要素 | 残高が出る側 |
|---|---|
| 資産 費用 | 借方(左) |
| 負債 純資産 収益 | 貸方(右) |
第1章のホームポジションと同じ。残高は「定位置側」に出ます。
6帳簿のなかま(主要簿と補助簿)
仕訳帳・総勘定元帳は必ず作る主要簿。細かい管理のために任意で作るのが補助簿です。本試験の第2問でよく問われます。
| 補助簿 | 記録する内容 |
|---|---|
| 現金出納帳/当座預金出納帳 | 現金・当座預金の入出金の明細 |
| 仕入帳/売上帳 | 仕入・売上の明細(返品は赤字=マイナスで記入) |
| 商品有高帳 | 商品の受入・払出・残高を「数量×単価」で管理 |
| 売掛金元帳/買掛金元帳 | 得意先別・仕入先別のツケ残高 |
| 受取手形記入帳/支払手形記入帳 | 手形の明細(振出日・満期日など) |
| 固定資産台帳 | 固定資産の取得・減価償却の履歴 |
💡 「どの取引でどの補助簿に記入する?」という問題は、仕訳に出てくる科目から逆引きすればOK。例:掛仕入→仕入帳・買掛金元帳・商品有高帳の3冊。
商品有高帳のイメージ(先入先出法)
@100で10個仕入れ → @120で10個仕入れ → 15個売った場合。
| 受入 | 払出 | 残高 | |
|---|---|---|---|
| 仕入① | 10個×@100 | 10個×@100 | |
| 仕入② | 10個×@120 | 10個×@100 10個×@120 | |
| 売上(15個) | 10個×@100 5個×@120 | 5個×@120 |
📌
先入先出法=先に入れた古いものから払い出すと仮定する方法。払出欄は原価(@100や@120)で書き、売価では書かない点に注意。ほかに、平均単価で払い出す移動平均法があります。
7理解度チェック
Q1. 試算表で必ず一致するのは?
Q2. 「売掛金」の残高はどちらに出る?
Q3. 仕訳を1つまるごと書き忘れた。試算表で気づける?
Q4. 商品有高帳の「払出」欄に書く単価は?
8まとめ
4行でおさらい
① 仕訳帳→総勘定元帳へ転記→試算表で集計・検算。
② 試算表は合計/残高/合計残高の3タイプ。
③ 借方合計=貸方合計。ただし発見できないミスもある。
④ 主要簿(仕訳帳・総勘定元帳)+目的別の補助簿。商品有高帳は原価で記入。