1仕訳は「3ステップ」で考える
どんな取引も、この手順で仕訳できます。
| STEP | やること | 例:商品を現金で仕入れた |
|---|---|---|
| ①分解 | 登場する科目を挙げる | 「仕入」と「現金」 |
| ②判定 | 各科目の要素と増減を見る | 仕入=費用が増加/現金=資産が減少 |
| ③配置 | ホームポジションで左右に置く | 費用増→左、資産減→右 |
🔑
第1章の呪文をもう一度:「資産・費用は左、負債・純資産・収益は右」。増えたら定位置、減ったら反対側。
2現金・預金の仕訳
現金を普通預金に預け入れた(¥10,000)
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 普通預金 10,000 資産が増えた→左 |
現金 10,000 資産が減った→右 |
どちらも資産。片方が増え、片方が減るので、左右に分かれます。
💡 当座預金がマイナスになると「当座借越(負債)」。決算で振り替えます(第5章)。
簿記でいう「現金」の範囲は広い
| 受け取ったもの | 使う科目 |
|---|---|
| 紙幣・硬貨 | 現金 |
| 他人振出小切手・送金小切手・郵便為替証書・配当金領収証 | 現金(通貨代用証券=すぐ換金できる) |
⚠️ 「小切手」という勘定科目は存在しません。受け取った小切手=現金。逆に自分が小切手を振り出したら当座預金の減少です。
帳簿と実際のズレ=現金過不足
帳簿残高¥10,000なのに金庫には¥9,000しかない(¥1,000不足)とき。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 現金過不足 1,000 | 現金 1,000 実際の額に合わせて減らす |
とりあえず「現金過不足」に置いておき、原因がわかったら正しい科目へ振替。決算まで不明なら雑損/雑益で締めます(第5章)。
3商品売買(三分法)
3級では商品売買を3つの勘定で処理します(=三分法)。
仕入
費用商品を買ったときの金額
売上
収益商品を売ったときの金額
繰越商品
資産売れ残り(決算で使う)
商品を現金¥3,000で仕入れた
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 仕入 3,000 | 現金 3,000 |
商品を現金¥5,000で売り上げた
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 現金 5,000 | 売上 5,000 |
📌
仕入は「買った値段」、売上は「売った値段」をそのまま計上。利益(差額)は決算でまとめて計算します。
4掛取引(ツケ)
代金を「あとで払う/あとでもらう」のが掛取引。商品代金のツケ専用の科目を使います。
| 科目 | 要素 | 意味 | |
|---|---|---|---|
| 売ったツケ | 売掛金 | 資産 | あとでお金をもらう権利 |
| 買ったツケ | 買掛金 | 負債 | あとでお金を払う義務 |
商品¥8,000を掛けで仕入れた
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 仕入 8,000 | 買掛金 8,000 負債が増えた→右 |
その買掛金を現金で支払った
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 買掛金 8,000 負債が減った→左 | 現金 8,000 |
⚠️ 混同注意:商品以外(備品の売却代金など)のツケは「売掛金/買掛金」ではなく「未収入金/未払金」。商品売買かどうかで使い分けます。
5返品(仕入戻し・売上戻り)
品違いなどで商品を返すときは、もとの仕訳の逆を書くだけ(逆仕訳)。
掛けで仕入れた商品¥2,000を返品した
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 買掛金 2,000 ツケが減る | 仕入 2,000 仕入時の逆 |
掛けで売った商品¥3,000が返品された
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 売上 3,000 売上時の逆 | 売掛金 3,000 |
6送料などの「諸掛り」
| 処理 | 理由 | |
|---|---|---|
| 仕入時の送料(仕入諸掛) | 仕入に含める | 商品を手に入れるためのコスト |
| 売上時の送料(売上諸掛・当社負担) | 発送費で別計上 | 売るためのコスト(売上からは引かない) |
商品¥5,000を掛けで仕入れ、送料¥500は現金で支払った
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 仕入 5,500 本体+送料 | 買掛金 5,000 現金 500 |
📌
第3章の固定資産(付随費用)と同じ発想:手に入れるためにかかったお金は取得コストに含める。
7手付金(前払金・前受金)とクレジット売掛金
商品の受け渡し前に代金の一部を授受したら、手付金専用の科目を使います。
| 科目 | 要素 | 意味 | |
|---|---|---|---|
| 手付金を払った | 前払金 | 資産 | あとで商品を受け取る権利 |
| 手付金を受け取った | 前受金 | 負債 | あとで商品を渡す義務 |
手付金¥1,000を払って注文 → 後日、商品¥5,000を受け取り残額は掛け
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 前払金 1,000 | 現金 1,000 注文時(手付金) |
| 仕入 5,000 | 前払金 1,000 買掛金 4,000 商品受取時 |
クレジットカードで商品¥10,000を販売(手数料2%)
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| クレジット売掛金 9,800 支払手数料 200 | 売上 10,000 |
手数料を引いた残りが、あとでカード会社から入金される権利(クレジット売掛金)。売上は満額で計上します。
8理解度チェック
Q1. 商品を掛けで売った。借方に来る科目は?
Q2. 「買掛金」は5要素のどれ?
Q3. 商品を現金で仕入れた。借方は?
Q4. 備品を売った代金を後日受け取る。使う科目は?
Q5. 掛けで仕入れた商品を返品した。借方に来る科目は?
Q6. 商品を売り、当社負担の送料を現金で払った。送料の処理は?
9この章のまとめ
4行でおさらい
① 仕訳は「分解→増減判定→左右に配置」の3ステップ。
② 商品売買は三分法(仕入・売上・繰越商品)。
③ 商品のツケは売掛金・買掛金、商品以外のツケは未収入金・未払金。
④ 返品は逆仕訳。仕入諸掛は仕入に含め、売上諸掛は発送費。手付金は前払金・前受金。